外壁は屋根と一緒に紫外線や風雨から建物を守っていますが、時間の経過と共に、徐々に劣化が進んでしまいます。そのままにして置くと、躯体構造を腐食させたり、雨漏りの原因になってしまいます。雨漏りは屋根からと思う方も多いですが、案外、壁が原因になっていることも少なくありません。天井からではなく、窓の下や壁の継ぎ目などから雨漏りが起こっている時は、壁の不具合を考えてみましょう。
今回は、壁からの雨漏り原因と修繕方法を上げてみました。
外壁から内部に入り込む雨漏りは、どうして起こるのか3つの原因が考えられます。
外壁のつなぎ部分のシーリングが劣化して、隙間から雨水が入り込んで雨漏りを引き起こします。外壁と外壁の取り合い、サッシと外壁の取り合い部分など、シーリングを使っているところは、劣化により様々な部分から雨漏りが発生する可能性があります。
シーリングは、夏期の順番で劣化が進みます。
1、経年により硬化して弾力性がなくなる
2、硬化が進みシーリング自体に亀裂やヒビが入る ⇒ 雨水が浸入する危険性があります。
3、シーリングとサイディングが剥がれて隙間ができる ⇒ シーリングが抜け落ちて目地部分が空洞になり、いつ雨漏りが発生しても不思議ではない状態になります。
「ヘアクラック」極細程度では問題ありませんが、「構造クラック」外壁の奥まで貫通して劣化が進んでしまうと、雨水が奥まで浸透して雨漏りが発生する危険性が大きくなります。
「構造クラック」は放っておくと雨漏りは止まることなく、冬場は浸入した雨水が壁内で凍って破裂することがあります。こうなってくると、外壁に大きな損傷を引き起すことになります。
雨樋が詰まって溢れた雨水が外壁に浸入してしまう、勝手口や窓上の庇が劣化して雨漏りにつながる、バルコニーも外壁に附帯しているので、老朽化すると雨漏りしやすくなります。特にインナーバルコニーを設置している建物は、強風を伴う大雨の時など、防水シートや塗膜が劣化していなくても、排水口の詰まりが原因となり雨漏りを起こすことがあります。
インナーバルコニーの雨漏りは、室内の被害が大きくなるので、バルコニーに附帯する部分の点検、メンテナンスはこまめに行いましょう。
雨漏りを見つけたら、二次被害を防ぐために、まずは自分でできる応急処置をしましょう。
雨漏りは自然に治ることはありませんから、出来るだけ早く専門業者に依頼して、修理するようにしましょう。
修理方法は、①外壁を修理・塗装する方法、②新しい外壁材で張り替えする方法があります。
早めの対応であれば、雨漏りの原因になっている外壁の修理や塗装を行うことで、修繕することが可能になります。外壁材の張り替えなど、リフォームを必要となれば、高額な費用が掛かってしまいます。
劣化部分の修理と外壁の塗装を行うことで、雨漏りを止めるのが一般的です。
まずは、徹底的に正しく雨漏りの原因となるポイントをつかむようにします。原因個所が不明なまま、「ここだろう」で修繕しても、雨漏りは繰り返されます。原因が不明である時は、防水効果の高い塗料で、建屋全体をぐるりと塗装してしまう方法もあります。この場合は、入った雨や湿気の抜け道を構造上作ることが大切ですから、安心できる専門業者に依頼するのが一番です。
シーリングの劣化が原因であれば、シーリングの打ち直しをします。この時は、劣化部分だけでなく、すべてを打ち直しするのがおすすめです。シーリングは、古いものと新しいものは密着しません。部分的に打ち直ししても、すぐに分離し剥がれてしまいます。
一部分の打ち直しでは、経費は抑えられますが、雨漏りの心配は無くなりません。
何度も打ち直しが必要となれば、かえって経費も手間も掛かることになります。
クラック部分の場合は、その部分を専用カッターでV字にカットして、そこにプライマーを塗布しシーリングを充填、最後に塗装して仕上げます。
部分的補修で雨漏りは直せますが、補修跡が目立ってしまいますから、可能であれば、補修後に外壁全体を塗り替えると、見た目も綺麗に仕上がります。
外壁の劣化がひどく塗り替えができない場合や、塗装できない素材を使用している場合は、外壁材の張替え工事が必要になります。
外壁の大規模改修工事は、解体費用や補修費用などが高額となり、新築時よりも工事費がかさんでしまうこともあります。
このようなことにならないように、定期点検とメンテナンスを行うことが重要になります。
屋根だろうが、外壁だろうが、雨漏りしたら困ってしまいます。早期に自分で対策しますが、軽い症状だと、そのまま放置してしまいがちです。
しかし、一旦雨水が入ると、その後も雨漏りを繰り返します。自分でできる処置はわずかですが、排水口やクラックの有無、シーリングの劣化などは、自己点検することができます。外壁の不具合に気付いたり、雨漏りを見つけた時は、症状が軽いうちに専門業者に相談しましょう。早期対応が修繕費用を抑えることにつながります。